ラベル

2022年12月29日木曜日

JELC社会委員会「原子力政策転換の撤回を求める要望書」

日本福音ルーテル教会社会委員会が下記の要望書を官邸宛てに提出しました。

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内閣総理大臣

岸田文雄様

原子力政策転換の撤回を求める要望書

 わたしたちは、現在政府が閣議決定を目指している原子力発電所への依存をすすめる原子力政策の転換に反対致します。

 政府の今回の方針転換は、休止中の原発の再稼働の加速、古い原発の運転期間延長、新型炉への建て替え促進が柱となっています。

 震災以降、「可能な限り依存度を低減していく」としてきたこれまでの政府の方針には、この国が地震大国であることばかりではなく、軍事的な攻撃目標ともなり得ること、未だ「核のゴミ処理」の道筋が立たないことなど、原発を維持していくことの様々なリスクを前提としていたはずであり、それなりの理由があったはずです。

 現在多くの原発の休止が継続しているのは、稼働させることのリスクが勘案されているからであって、それらは一朝一夕に解決される類のものではありません。また、もともと40年を耐用年数としていた原発を60年を越えてさらに稼働させることも、そもそも当初の設計を無視した愚行であって、老朽化した原発の事故リスクの増大は明らかです。新型炉への建て替えに至っては、建設地の反対も予想されるなど、総合的に見て経済的にも合理性のある政策とは思えません。

 3.11の震災・原発事故の傷跡は今なお深く、多くの人たちが住み慣れた土地に戻ることが出来ずに避難生活を余儀なくされています。使用済み核燃料や放射性廃棄物の処理問題にも解決の道筋が見えず、一旦事故が起これば、健康被害、経済的な疲弊によって、日本と周辺地域の将来を脅かすことになるのです。

 これら重大な政策変更を、充分な議論も将来的な見通しもないまま強行することは、この国の民主主義をも危険にさらすことになるでしょう。

  事故の惨禍から学んだ教訓を思い起こし、何が将来への責任を果たす道であるかを真剣に考えるべきときです。政府には、この度の政策転換を見直し、原発に頼らない新しいエネルギー政策へと踏み出していかれますよう、強く要望する次第です。

2022年12月26日

〒162-0842東京都新宿区市谷砂土原町1-1

日本福音ルーテル教会

社会委員会

委員長 小泉基

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JELC社会委員会「敵基地攻撃能力でなく地域安定のための外交努力を求める要望書」

日本福音ルーテル教会社会委員会が下記の要望書を官邸宛に送付しました。

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内閣総理大臣

岸田文雄様

敵基地攻撃能力でなく地域安定のための外交努力を求める要望書

わたしたちは、政府が閣議決定をめざしている長射程ミサイルの開発・配備等による、 敵基地攻撃能力の保有に反対いたします。

政府が今回改定を準備している国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の改 定は、たとえそれを「反撃能力」と言い換えたところで、他国への先制攻撃の準備であり、 敵基地攻撃能力の保有に他なりません。日本が、他国のミサイル基地や発射指令を行う都 市等にむけてのミサイル攻撃能力を保有することは、専守防衛を国是としてきたこの国の 防衛政策の大転換です。「平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して、われらの安全と 生存を保持しようと決意した」憲法前文の精神に反し、かえって東アジアの平和を危険に さらすものだといえます。敵が攻撃の準備をしただけで、攻撃を受ける前にミサイル攻撃 に踏み切る、あるいはその能力を準備するならば、それは先制攻撃、あるいは先制攻撃の 準備に他ならず、日本が二度とその過ちを犯さないと決意した戦争への道を再びひらくこ とになります。

またこの政策転換は、平和に対する脅威をもたらすだけではありません。GDP 比2% 拡大をめざすという泥沼のような軍事費の増大は、増税や教育・福祉・医療など社会保障予 算の削減によって、かえってこの国に暮らす人たちの生活を苦しくし、さらなる貧富の格 差をもたらすことになるでしょう。

わたしたち日本福音ルーテル教会は、過去の侵略戦争に協力してしまったことへの反省 と悔い改めから、2006 年の第 22 回定期総会において「21世紀の時代、『日本国憲法』 の前文と第9条が現に有する理念の具現化こそ、わが国がなすべき世界における国際貢献 であり、かつ平和貢献であると確信するものである」と宣言するなど、軍備増強に反対す る姿勢を表明してきました。

わたしたちは、いま必要なのは軍備の拡張による見せかけの抑止力ではなく、東アジア に平和をもたらす積極的な平和外交に他ならないと考えます。政府におかれましては、防 衛政策の転換を撤廃し、軍事費を増大させることなく、市民の暮らしのための予算を拡充 させ、東アジアの緊張緩和、平和樹立に直結する平和外交へと踏み出して行かれますよう、 強く要望する次第です。

2022年12月8日

〒 162-0842 東京都新宿区市谷砂土原町 1-1

日本福音ルーテル教会

社会委員会

委員長 小泉基

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