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2015年7月16日木曜日

安保関連法案についての現状を踏まえ、これを憂う(日本福音ルーテル教会社会委員会)

 

今国会において進められている安全保障関連法案が、7月15日に衆議院の特別委員会で可決されました。政府は、本日7月16日に法案を衆議院本会議で可決して参議院に送る方針を発表しています。
 
集団的自衛権の行使を可能にすることなどを盛り込んだ安全保障法案に関して日本福音ルーテル教会がすでに発表した関連文書をもって姿勢を示します。


(1)真の平和を実現するために — 集団的自衛権の行使容認を懸念する ー
   (日本福音ルーテル教会 社会委員会 2014年9月5日付)

(2)「日本国憲法」の前文および第9条の改定に反対する声明
   (日本福音ルーテル教会 第22回総会 2006年5月22日付)


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(1)真の平和を実現するために 
— 集団的自衛権の行使容認を懸念する ー 
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   日本福音ルーテル教会 社会委員会

 1.集団的自衛権の行使について

 2014年7月1日に内閣は「集団的自衛権の行使容認 」を閣議決定し、それに基づいての法整備に取り組む意向を明らかにしました。そこには日本を取り巻く国際情勢の変化や国家安全に対する危機意識の増大も大きな要因として働いていると思われますが、私たちは、「平和を愛する神の民」として国家と国際社会の平和が武力の行使によってもたらされるという道をとりません。
 今回の集団的自衛権の行使容認については、武力行使のための条件(新三要件)が設定されて、その行使が限定的なものであることが表明されていますが「日本と密接な関係のある」戦闘状態の国の支援を武力によって行うことを容認するものであり、戦争行為をも辞さないことを表明するもので、「戦争の放棄」とは真逆の、戦争行為への道を開くものであると判断します。
 私たちは、「国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」(イザヤ2:4)ことを旨とし、「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈る」(マタイ5:44)ことこそが真の平和をつくりだしていく道であると確信しています。
2.閣議決定による憲法解釈について

 法は、憲法を含めたあらゆる法が、実際には解釈によって運用されることをわたしたちは法治国家の民としてよく知っています。それだけに法の解釈には慎重さと熟慮が求められます。ましてや国家の基本となる憲法においては、その取扱いは慎重であるべきです。 それにもかかわらず、今回のような与党における合議と閣議によって憲法が解釈され、それが実行されることは、立憲国家としてあってはならないと考えています。それは民主主義を自ら破壊する行為にほかなりません。国家の基本となる憲法の解釈には、司法による公正な判断と国民による審判が必要であると考えています。 
(2014年9月5日)


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(2)「日本国憲法」の前文および第9条の改定に反対する声明 
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    日本福音ルーテル教会

 戦後60年が経ち、今、日本に求められていることは、「戦争放棄」を明記した憲法を持 っている、世界で唯一の国として、世界の中でいかにして平和貢献をなしていくかである。 
 この「日本国憲法」は、第二次世界大戦の反省の上に立って、かつての半封建的な絶対 主義的天皇制に立脚した主権在君、軍国主義を完全に否定し、平和主義、主権在民、基本 的人権の尊重を根底にして構成されている。この憲法制定の根底には、過去の戦争への深 い反省の精神が込められていることを忘れてはならない。 
 しかし、わが国政府は、アメリカにおける2001年9月11日の同時多発テロ以降、 アメリカの単独先制攻撃主義に基づく対イラク戦争の勃発に際し、日米関係を優先して、 これに加担し、今日に至っている。 
 こうした状況下にあって、自民党をはじめ政府与党は「自主憲法制定」を標梼し、「日本国憲法」改定案を作成し、憲法改定国民投票案の準備を進めている。 
 殊に、憲法改定推進派の人々には、全面改定を主張することによって、かつてハードル の高かった憲法第9条の改定が一気にできるとの戦術的発想がみられ、平和憲法を護る立 場にとっては看過し得ない状況にある。 
 私たち日本福音ルーテル教会は、過去、戦争を是認し、支持し、加担してきた罪を懺悔 し、日本基督教団(鈴木正久総会議長の名によって告白された)「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」文書(1967年)の趣意に同意した建議書を総会(1970年)で決議した歴史をもっている。また、「宣教百年信仰宣言」(1993年)において次のように告白している。
 「とくに、第二次世界大戦を含め十五年戦争のあいだ、私たちの教会は神のみを神とす る十戒の第一戒を守り抜くことができず、また平和を実現するようにとの主の戒めを生き ることができませんでした。その結果、私たちの教会は、1941年の日本基督教団合同に際して、ルーテル教会の 信仰告白をあいまいにし、戦争の勝利を祈り、協力しました。こうして、行なうべきでは なかったことを行なってしまった罪と、行なうべきだったことを行なわなかった罪とを、神と隣人の前に、とりわけアジアの人々の前に犯しました。」 
 私たち日本福音ルーテル教会は、このような過去の戦争への反省と悔い改めから、二度 と過ちを犯すことがないようにとの平和への祈りと志から、現憲法の有する平和主義、主権在民、基本的人権の精神が堅持されることを強く望むものである。特に、憲法第2章第9条 戦争の放棄を謳った第1項、第2項の条文が改定されること に強く反対するものである。
 日本福音ルーテル教会は、21世紀の時代、「日本国憲法」の前文と第9条が現に有する 理念の具現化こそ、わが国がなすべき世界における国際貢献であり、かつ平和貢献である と確信するものである。ゆえに、我々は、この改定に断固反対する。 
 (2006年5月5日 日本福音ルーテル教会第22回総会)

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