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2019年4月25日木曜日

日本福音ルーテル教会社会委員会より「天皇「代替わり」関連行事に関する見解」と「天皇の即位と退位の儀式に関する要望書」

2月18-25日に行われた第28期第3回常議員会において、天皇「代替わり」関連行事に関して、即位前の4月末までに社会委員会を中心に、これまでのように「見解」を作成、ホームページに記載し、日本福音ルーテル教会の「姿勢」として表明することとなりました。
以下、お知らせいたします。

「天皇「代替わり」関連行事に関する見解」

2019年3月17日
日本福音ルーテル教会社会委員会

 政府は、2019年4月30日と5月1日に予定されている現天皇の退位および新天皇の即位に関する一連の行事を、前回「代替わり」時の式典を踏襲する形で行うことを閣議決定し、その準備をすすめています。日本福音ルーテル教会は、すでに先の「代替わり」にあたり、第14回定期総会において採択した「即位礼・大嘗祭を前に」という信仰表明文(1990年8月31日)においてその問題点を確認し、明らかにしていますが、今回再び前回同様の代替わり儀式が繰り返されるなら、これを看過し得ないと判断し、常議員会(第28総会期第3回2019年2月20日)の要請に基づき、以下の懸念を表明します。

1.「剣璽等承継の儀」「即位礼正殿の儀」の問題点
 政府は、この両儀式を国事行為として行うと閣議決定しています。「剣璽等継承の儀」は、天皇の持ついわゆる「三種の神器」のうちの剣と璽(勾玉)を、地上の支配権のしるしとして新しい天皇に譲り渡すという、天照大神以来の神話に基づく神道儀式です。現皇室典範には記載がないため、昭和天皇の退位にともなう代替わりにおいては、天皇が現人神とされた時代の「旧皇室典範」の神道儀式にもとづいて行われたことでした。また、新天皇が国内外に即位を宣言する「即位礼正殿の儀」も、天孫降臨神話に基づく天皇の玉座(高御座)において新天皇が即位を宣言し、国民を代表する首相が、寿詞と呼ばれる天皇への服従の誓いを述べ、天皇を仰いで万歳三唱をするという、天皇を国民の上位に置こうとする宗教的色彩の強い儀式となっています。これらの儀式を国事行為として行うことは、神道神話に基づく神道行事への参加を国民に強制させ、またそのために巨額な国税を用いることによって、憲法の政教分離原則を大きく逸脱し、信教の自由を侵害するものです。

2.大嘗祭に国費を用いることの問題点
 新天皇の即位後に行われる大嘗祭は、神と天皇が食事と寝床を共にし、永遠性を帯びた天皇霊を継承することによって神格化されるという天孫降臨神話に基づいた神道儀式です。政府は、これを国事行為とはしないものの「極めて重要な伝統的皇位承継儀式で公的性格がある」行事であるとして、このためだけに十数億の費用をかけて大嘗宮を造営するなど、多額の国費を投じようとしています。この点については、先の天皇代替わりにあたって提訴された裁判において、大阪高裁も「大嘗祭が神道儀式としての性格を有することは明白であり」「政教分離規定に違反するのではないかという疑義は一概には否定できない」(1985.3.9.大阪高裁)と疑義を呈すなど、広く問題点が指摘されています。政教分離原則に立つならば、特定宗教である神道儀式に国費を用いることは認められないはずです。

3.祝意の強制
 この度の代替わり儀式が国家行事として大々的に挙行されることにより、マスコミの「祝賀報道」等によって国民としての祝意が有形無形に強制されていくこと。とりわけ学校等の教育現場において「日の丸・君が代」を用いることが強制されること。さらに新たな元号を使用するような圧力が社会の中で一般化していくことなどが懸念されています。こうした天皇の代替わり儀式にともなう祝意の強制は、人の上に人を戴くことを強制するという点で、聖書の神以外のものを神としないことを信仰の核心に据え、この神の前におけるすべての人の平等を旨とするキリスト教信仰とは相容れないものです。

4.教会の歴史を顧みて
 かつて、明治憲法下における日本福音ルーテル教会は、1928年に行われた昭和天皇の即位礼・大嘗祭において、これを奉祝するという立場から「御大典記念伝道」と呼ばれる特別記念伝道を行うことなどにより、積極的に「忠君愛国」「国体擁護」を示し、15年戦争につながる国家体制を翼賛するという過ちをおかしました。今を生きるキリスト者であるわたしたちは、天皇を現人神とする国家神道体制のもとで、人々の思想・良心・信教の自由を縛り、近隣諸国の多くの人々の命を奪うこととなった戦争に協力してしまったことへの反省にたち、二度とこうした過ちをおかすことのないよう、天皇の代替わり行事における政教分離と国民主権の原則を遵守するよう政府に求めるとともに、「奉祝ムード」に安易によりかかることによって、信仰の本意を見失うことのないよう、教会の立場を明確化する必要があると考えます。

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2019年3月17日

天皇の即位と退位の儀式に関する要望書


内閣総理大臣 安倍晋三様
宮内庁長官  山本信一郎様

〒162-0842東京都新宿区市谷砂土原町1-1
日本福音ルーテル教会社会委員会
委員長 小泉 基

 日本福音ルーテル教会社会委員会は、別紙『天皇「代替わり」関連行事に関する見解』(2019.3.20)第1項、第2項、および第3項にもとづき、日本政府に以下のことを求めます。

1.剣璽等承継の儀、即位礼正殿の儀を国事行為としないこと。
2.大嘗祭に国費を支出しないこと。
3.教育現場をはじめ、いかなる場においても、日の丸、君が代、元号の使用を強制しないこと。
-以上