2020年5月2日
議長談話(緊急事態宣言延長の報を受けて)
日本福音ルーテル教会 総会議長 大柴 譲治
日本福音ルーテル教会に関わる信徒と教職の皆さま
いのちの危機に直面する中で私たちは今、自身の無力さや弱さ、限界というものを深く自覚させられています。 恐れやおののき、不安や混乱の中にある方もおられましょう。このような事態はいつまで続くのでしょうか。い つまで耐えなければならないのでしょうか。そのような先の見えない長いトンネルの中にあっても私たちは、「わ が恵み、汝に足れり」と告げてくださるキリストの御声に拠り頼みたいのです (2コリント12:9)。
緊急事態宣言の延長が来週にも確定される予想です。イースター以降、多くの教会では礼拝堂での集会を自粛 されていることと思います。一つに集まることの大切さを身に沁みて感じます。聖霊降臨の出来事は皆が一つに 集まって祈っている時に起こりました。ボンヘッファーの「キリスト者の交わりは自明なことではない」(『共に 生きる生活』)という言葉を思い起こします。詩編 133 もこう歌っています。「見よ、兄弟が共に座っている。な んという恵み、なんという喜び」。しかし、私は議長として今、改めて可能な限り家にとどまるように呼びかけ させていただきます。物理的距離と霊的な距離は異なります。動かずにいることをいのちを守るための積極的な 行為として、聖書と祈りに集中してゆくための「外的奉仕のための内的集中」の行為として位置づけたいのです。
インターネットを通して新しい「つながり」と「コミュニケーション」を求めて様々な試みがなされています。 「ウェブ会議」のみならず、歌やパフォーマンス、楽器演奏によるコラボレーション、さらには「オンライン飲 み会」まであります。このような状況の中でしか生み出すことのできない想像力を働かせた新しい領域が創造さ れてきている。人間の持つ可能性の豊かさを覚えます。私たちもまた、しぶとくしなやかに、諦めずに信仰生活 を豊かなものとしてゆきたいのです。サブリミナル効果でしょうか、私の中では幼い頃に聴いた「だけど僕らは くじけない。泣くのは嫌だ、笑っちゃえ!」(『ひょっこりひょうたん島』)という歌声がいつも響いています。
苦しみや悲しみを背負わされている方々のために主の守りと支えとをお祈りします。また、いのちを守るため に献身しておられる医療従事者と福祉従事者のために励ましと力とを祈ります。そして、病床にある方々に、ま たそのご家族の上に、私たちを通して、神さまのみ手が差し伸べられますように慰めを祈ります。困難の中にあ っても神が私たちをそのあわれみの器として用い、支え、助け、互いに多様性を尊重し、連帯しつつ一致を求め てゆくことができるよう祈ります。一つに集まることができない時にも、私たちは復活の主を中心とする「一つ の霊的なからだ」です。自宅で独り祈る礼拝もまた「公同の礼拝」につながっています。
緊急事態宣言が継続している間は、引き続き礼拝堂での集会については自粛することが望ましいと判断します。 解除後も状況を見極めてゆく必要があります。地域によっても異なるでしょうが、今後も可能な限り慎重に判断 してゆきます。いずれにせよ当面の間は現状を維持し、「三つの密」を避け、各自で責任ある行動を取っていただ きたいのです。その後の方向性については、緊急事態宣言が解除される前に、皆さまにお知らせします。
あわれみ深い神が、すべての人を守ってくださいますように。ただ神の御心がこの地上で成りますように。