能登半島地震から1年9ヶ月
ログキャビンプロジェクトの描く夢
ルーテル教会が支援する町野町ログキャビンプロジェクト。
現在の町野町の状況とプロジェクトがめざすところについて、9月に現地を
訪問してこられた宣教室の小泉基牧師にお話しを伺いました。
Q-今回8ヶ月ぶりに訪問して、町野町の様子はいかがでしたか?
A-町野町は地震で建物の9割が全半壊の判定を受けた地域なのですが、地震から1年9ヶ月たっても、いまだ解体されないまま残されている廃屋が多いのに驚きました。
Q-ようやく仮設住宅が建設されたとも聞きましたが。
A-はい、今年の5月にふたつの仮設住宅が完成し、合計で170戸、数百人の方々が入居されました。2000人ほどだった町野町の人口は、地震と豪雨で仮設住宅完成前には700人ほどまで減少し、仮設住宅の完成で1000人ほどになったのではないかと言われています。
Q-仮設住宅に入居された人たちは、これからどうされるのですか?
A-災害公営住宅への入居を希望される方も多いですが、整備されるのは3~4年後のことだといわれます。自宅の再建を望んでおられる方も少なくありません。
Q-なぜ自宅再建がすすまないのですか?
A-やはり再建費用の問題です。さらに事態を難しくしているのは、ハウスメーカーの坪単価が高騰していることです。建築資材の高騰と被災地の職人不足による人件費の高騰。その結果、坪単価は150-200万円程にもなっているとのこと。これでは20坪ほどのささやかな自宅を再建するのにも3-4000万円もかかってしまいます。
Q-被災者が自宅を再建するための補助金はどのくらいなのですか?
A-世帯人数などにもよるのですが、国の補助金と輪島市の補助金で600万円ほどとのこと。これでは、年配の方々でなくとも、ローンを組んでの自宅再建はおぼつきません。このままでは、町野町に住む人がいなくなってしまうのではないか、という危惧を、地域の人たちは共有しています。
Q-いったい、どこに希望を見いだせば良いのでしょうか。
A-そこにチャレンジしようとするのが、大石医師らを中心とした町野町ログキャビンプロジェクトを担うグループです。能登半島にいくつかのコミュニティースペースを建設するプロジェクトの一環として、医院跡地にログカフェを建設するため、粟倉医院(医療法人山桜会)等が休眠預金を用いた助成金の申請を行い、受理されました。
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再建に取り組んでおられる大石医師(左)と小泉牧師(右) |
Q-ログカフェ建設が、地域の人たちの希望になるのですか?
A-ログキャビンプロジェクトは、そこをなんとかつなげようというビジョンを描いています。町野町の住民が、大手ハウスメーカーに頼ることなく、町野町の山林の木材を使い、自分たちで協力しあってログハウス住宅を建築しようというのです。そのために、まずは補助金を受けてログカフェを建設し、それを通して、課題を抽出し、それを克服する道筋を見いだそうとしています。町野町の山林から木材を切り出し、ログハウスメーカーに運んで製材してもらい、それを住民が協力しあってログハウス住宅へと組み立てていく。それで大きな借金をしなくてもよいレベルで、住宅を再建していく。そんなサステナブルな町作りの将来を夢見ているのです。
Q-そんなことが可能でしょうか。
A-どこまで実現性があるのか、ちょっとはかりかねている部分もありますが、地域の人たちのコミュニティースペースとしてのログカフェ建設は、それでけでも意義ある取り組みです。ちなみにプロジェクトでは9月にチェーンソー講習会を実施済。10月と11月は小型移動式クレーン運転技能講習と、クレーン作業に必要な技能である玉掛け技能講習を実施して、ログハウス住宅のためのノウハウを地域に蓄積しようとしています。
Q-ログカフェ建設は、どこまですすんでいるのですか?
A-助成金の申請は受理され、来年3月までがプランニングフェーズとされています。今は設計図を描き、行政との調整を行っていく段階で、その計画が承認されれば、来年4月から建設に入りたいとしています。
Q-ルーテル教会の支援はどのように使われますか?
A-数千万円のログカフェの建設費用の8割は、承認されれば助成金で賄われますが、2割の自己資金が必要です。ルーテル教会からの支援は、数百万円が必要となるこの自己資金の一部として用いられます。ルーテル教会は、引き続き町野町ログキャビンプロジェクトへの支援を呼びかけています。
【支援金送金先】
郵便振替00190-7-71734
「宗教法⼈⽇本福⾳ルーテル教会」
能登支援と明記